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知代の性活
第9章 十二月 歌うためなら、性を、体を
「さあ、今度はオーナーの体にキスしてあげて」
「体に…?」

 知代の戸惑うような表情が重倉の加虐心をそそる。
 もっともっと辱しめたい。徹底的に墜としてみたい、そう思わせる、可憐で穢れのない顔だ。

 今ここで犯すのよりも、もっと楽しめそうなアイディアを思いついた。
 それまで我慢してもいいかもしれない。

 我慢したほうが、もっと楽しめる。
 それに今は才藤を満足させるほうが先だ。

 重倉にとって才藤は、店のスペースを貸してくれる大事な仕事仲間であり、芸能界を夢見る少女を共有する、性的趣向の仲間でもある。
 ステージ出演を引き換えに、体をもらう。
 重倉が少女を探し、才藤がステージを整える。

 二人はこうやって、もう何年も少女を犯し続けている。
 重倉に芸能プロデューサーとしての実績がある分、少女を信用させるのは容易かったし、性行為を強要したわけでもないから、今まで表立って騒がれたこともない。

 いわゆる「枕営業」というものだ。

 知代は戸惑いながらも、シャツを脱ぎ露になった才藤の上半身に顔を寄せる。

 キスは何度もしたことがある。フェラチオだって何とか出来るようになった。
 ただ、男の体を舐めるように言われたのは初めてだった。

 どうしていいか迷う知代に、才藤は「男にされるみたいにやってみて」とか細い声で言った。
 
 どうしたらいいのだろう。
 
 知代は本気で困ってしまった。

 才藤にセックスをしろと言われれば、男一人に抱かれるくらい構わないと思う。
 いつかの男達のように強姦されるわけではないのだから、それならば仕方ないか、と納得できる。
 ステージに立ち続ける、ということは、トレーニングでは得られない経験を与えてくれるだろう。
 男達に貞操観念を突き崩された知代にとって、体と引き換えにステージを約束してもらえるなら、安い買い物のように思えた。

 しかし男を責めろ、と経験のない行為を求められている。

 何とか気を取り直して、今まで男にされたことを思い出しながら、知代は才藤の首筋に舌を触れさせた。

 肩をすくめるように才藤が短く息を漏らす。
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