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知代の性活
第11章 二月 性も根も果てるまで
 午前のステージが終わり、会場に戻ると、出番を終えたマジシャンが周囲の客に対して簡単なマジックを見せていた。
 近くでチラシを配らせてもらおうかな、とステージ裏の控え室にチラシを取りに戻ると、藤井が待っていた。

「お疲れさん」
「あ、どうも…えっと、こちら藤井さん。このイベントのスタッフをまとめている人」

 そう和也に紹介する。さすがに犯された相手、とは言えない。

 和也は持ち前の人のいい笑顔で、藤井に挨拶をした。

 ちょっと打ち合わせを、と藤井は知代をステージ裏の控え室へと誘う。
 すぐに終るから、と知代はすぐ近くに和也を待たせたまま、控え室へと入る。

 カーテンは開けたままにしておこう、と知代が思うも、後から入った藤井がカーテンを閉めてしまった。


「彼氏か?」

 控え室に入るなり藤井が問いかけてきた。

「そうです」

 知代ははっきりと答える。これ以上、藤井に付き合うつもりはない、という意思表示だった。

「…何か用ですか?」
「何だよ、冷たいな」
「…私にあんなこと…たくさんして…」
「あんなこと?」
「…何か用ですか?」

 知代は藤井を突き放す。
 ふん、と藤井は鼻を鳴らす。

「やっと少し時間が出来たからな。お前とセックスしようと思って」
「…え?」
「やらせろよ。大人しくしてたらすぐ終らせるから」
「…いやです。そこに彼氏がいるんですよ。そんなことするわけないじゃないですか」
「彼氏とセックスしてたのか?」
「そんなこと…してません!」

 狭い控え室スペース。壁も薄いため大声も出せないため、必然、二人の距離は近くなる。
 それでも知代は、必要以上近寄らせまいと、藤井を牽制する。

 だが、そんなことに屈する藤井ではなかった。大股に知代に近付く。
 逃げ場もなく、知代は藤井に迫られた。
 
「やめて…来ないで」
「そうだよなぁ。彼氏にバレたら大変だもんなぁ」

 ニヤニヤ笑いながら藤井は言う。

「だから早く終らせなきゃな」
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