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第12章 三月　夢を叶えた少女

　動画の撮影は順調に終った。

　その後、新たに立ち上げた『ＡＭチャンネル』という動画サイトに載せるための撮影をした。
　
　プロデューサーである重倉とのトークや、知代がこのチャンネルのために歌ったライブ映像。

　それらの動画はすぐに編集され、公開された。
　ネット上での反響もよく、次のライブも大入りになるだろうと思わせてくれた。

　そして『ＡＭチャンネル』初の生配信を行うことになった。
　以前配信した動画で、今日の生配信を予告していたので、大勢の視聴者がパソコンの前に集まっていた。

　ステージの上に立つ知代の横に、腰の高さほどの丸い小さなテーブルを置き、その上にパソコンを置く。
　パソコンの画面にはｗｅｂカメラを通じて、知代の姿。
　右側にコメント欄があり、質問を打ち込めば知代が直接答えてくれる。

　視聴者の数は開始時ですでに千人を超えていた。


　知代は今日は私服で来た。より自然な姿を見てもらうためだ。

　膝上のふわりとしたラインの、ピンクのフレアスカート。
　白のセーラー襟のカーディガン。
　インナーは白のＴシャツ。

　足元は黒の足首までのソックスに、スニーカー。

　まったく普段着かと聞かれれば、ちょっと可愛くしてきた、と言うのが正直なところ。
　それでも、私服には変わりないし、知代が選んだコーディネートなのにも変わりがない。

　パソコン画面に、次々と質問が打ち込まれていく。
　事前に重倉や才藤との打ち合わせはほとんど無かった。

　好きに答えていい。
　自然体でいればいいよ。

　そう言われていた。