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知代の性活
第2章 五月 徐々に感度を上げていく体
 ここ数日、中山という二十代半ばほどの男性社員とよく現場で一緒になった。

 元々柔道をやっていたらしく、格闘家らしい頑丈そうな体を持っている。

 こういう体の大きな男性は知代は少し苦手だが、中山は対応が柔らかく、知代としても安心して話しが出来る社員の一人だ。

 他のバイトスタッフが言うには、中山は見た目もそれほど悪くないが、柔道をやっていたせいか、ほとんど女っ気のないまま大学生活を終えたという。
 社会人になってから出来た恋人とも、時間が不規則なイベント業界にいるせいで、上手くいっていないらしい。

 実際のところがどうかは分からないが、人当たりがいいのは事実。
 
 軽い下ネタが好きらしく、ここ数日知代を「貧乳」とからかっては他の女性スタッフから「セクハラ」と突っ込まれるのがお約束になっていた。

 ただスポーツマンらしく、それほどいやらしさは感じなかった。
 その程度の下ネタを拒絶するほどでもなく、また爽やかなイメージからか歳が比較的近いからか、他のスタッフからも好かれているようだった。

 ある日の仕事で、知代は失敗をしてしまった。

 クライアントから預かった書類を紛失してしまったのだ。
 どうも思い出すに、廃棄の書類と一緒に捨ててしまったらしい。

 ここ数日、バイトにボイストレーニングにと、連日動き回って疲れを感じていた。
 この仕事が終ったら休もう、と思っていた矢先だった。

 紛失してしまった書類は、次のイベントに招待された客のリストで、名前はもちろん連絡先などの個人情報も記載されている。

 中山が、クライアントに一緒に謝ってくれた。
 その場はそれで済んだが、後日聞いた話によると、クライアントは、バイトの知代がいたのでその場ではあまり怒らなかったが、その後中山はかなり厳しく怒られたらしい。

 その話を聞いて、中山に直接謝罪しなければ、と知代は会社へと向かっていた。
 少なくとも今現在は、知代が気兼ねなくしゃべれる唯一の社員、ここ数日世話にもなっているし、この失敗について注意はされたものの特に咎める様子も見せなかった。

 だからこそ、きちんと謝らなければ、と思う。
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