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キミといる場所
第3章 過去と現在(いま)
「菜緒さんは?」

熱々の骨付きカルビを上手に切り分けながら、
聞かれた。

「私?」

「どうして建築士に?」

単純に建物が好きだった。
不思議な形をしたビルや、海外の可愛らしい住宅。
小さい頃に「おうちの地図」と言いながら書いた間取り図が、
今も実家に残っている。

「物を造る仕事っていいですよね」

「そお?」

「うん、そこに頑張った自分が残るじゃないですか」

確かに、竣工した建物を見たときの喜びは
この仕事をして何年経っても変わることのない充実感をもたらしてくれる。

あぁ、そうだよなぁ…。
家族の幸せを入れる器を、私が造らせてもらっている。
幸せな仕事じゃないか。

「ありがとう…」

思わず呟いていた。

「え?」

「なんかすごく元気でた」

素直に笑顔になった。
長谷川くんも優しい笑顔を返してくれる。

「たまにね、自分がトーテムになったような気になるんだよね」

「トーテム?インセプションの駒?」

「うん」

他人の夢に入り込み、アイディアを植え付けるスパイの世界を描いた映画に出てくるアイテムだ。
現実世界では倒れてしまう駒が永遠に回り続けるということは、主人公がまだ夢の世界の中にいることを示す。

「倒れたら終わり、みたいなことですか?」

「うん」

相田に与えてもらったこの環境が夢の世界のものだとしたら、
駒が止まったとき私はもとのあの…公園に戻ってしまうような気がするのだ。

「僕ね、ベイブレードの大会で優勝したことあるんですよ」

「ベーゴマのすごいやつ?」

「そうそう、だからね」

長谷川くんはパクっとカルビを口に入れ

「倒れそうになったら僕が回してあげますよ」

すげー高速回転ですから三半規管鍛えてくださいよ!
と笑ってる。

だから、ダメだって…そーゆうの。
涙が…ね。

「骨付きカルビ、もう一丁いきますかー?」

明るくオーダーする長谷川くんに、

「特上でいっちゃおう!」

鼻をすすって私も明るく答えた。

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