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キミといる場所
第3章 過去と現在(いま)
店を出ると、雨はやんでいた。

自転車を置いていくという長谷川くんを乗せて、郵便局まで走る。

「僕ばっかり飲んじゃって…菜緒さんも飲みたかったでしょ?」

「ああ、飲みたかったさー」

私が笑うと

「今度は僕が運転しますから、菜緒さんは飲んでくださいね」

「え、自転車二人乗りで帰る気?」

長谷川くんも笑って

「まさか!あ、でもタンデムしたいならいつでも漕ぎますよ!」

二人乗りで爆走する私たちを想像し、私は更に愉快な気持ちで郵便局前に車をつけた。

「僕の部屋、そこのすぐ裏の3階建ての2階なんです」

角部屋を指差した。
そしてカバンをゴソゴソすると

「手、出してください」

言われるままに差し出した左手に、ペンで電話番号を書く。

「それ、僕の携番。ご訪問の前にはご一報を」


帰宅してから手のひらを見つめた。
ただの数字の羅列なのに、そこに隠れた意味を見ようとしてる。
誘われてんのかな?
まさかね。


お腹も心もたっぷりと満ちていた。
思わせぶりな年下男子についてアレコレ思おうにも、
急激に襲ってきた睡魔に勝てず、
あっという間に夢の世界へ落ちていった。
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