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キミといる場所
第6章 神様!
よく晴れた日曜日、
私は珍しく早起きをした。

布団を干し、
洗濯機を3回転させ、
床を拭き上げ、
キッチンを磨き、
トイレの神様に無沙汰を詫びた。

人間らしく生きること。

当たり前の事だが、
その当たり前を大事にしながら暮らしていこう…
最近の私はそう思うようになっていた。

朝日を浴びる。
おろしたての服に袖を通す。
美味しいものを食べる。
好きな映画を観る。
大きな声で笑う。

ふとした瞬間、
私の心の中に長谷川くんが顔を出し、
切ない残像を残して消えていく。
そんな刹那が愛しくてたまらない。

がむしゃらにする仕事だけでなく、
そんな日常のひとつひとつたちも
私のトーテムを回してくれている…
そう感じるのだ。

深夜の帰宅途中に見上げた
角部屋に灯る柔らかな光は、
ここにいる私を照らす。

もしも実らない想いであっても、
私は幸せだった。

干した布団を取り込むためにベランダに出ると、
暮れかけたオレンジの空に雲が光っている。

「そうだ、ビール飲も」

急いで布団を取り込んでコンビニに走った。
夕焼けを見ながらゆっくりビールビール!
急げー!

ビールついでにお菓子や朝食用のパンを抱えた所に、
長谷川くんが入ってきた。
念が通じた!
わー!

外気にさらされていたせいか、鼻先が赤い。

「よ、トナカイくん」

「あ、菜緒さん!」

「鼻の頭、赤いよ」

「え"!?」

慌てて押さえる姿が可愛い。

「今日は冷えたから、鍋でもしようと思って」

スーパーの袋を持ち上げてみせる。

「ビール忘れちゃったんで寄ったんですけど、
菜緒さんに会えるなんて思ってもみなかったー」

にこにこと笑う長谷川くんの顔が見れるなんて、
私も思ってもみなかったー。
トイレの神様ありがとう!

「そーだよねぇ、鍋の季節だねぇ」

「菜緒さん、一緒に食べません?」

えーーーっ!?

「ひとり鍋ってつまんないんですよね」

確かにそうだけど…。

「ほら、材料揃ってるし、菜緒さんチ近いし!」

えええーーーーっ!?


こうして今、我が家のリビングで
湯気のたつ鍋を挟んで向かい合っている私たち。

これは…この状況は…
トイレの神様、どうしよう!?




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