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キミといる場所
第6章 神様!
再生ボタンを押すと
画面いっぱいの美しい映像が溢れだしたのに、
私はまったく集中できない。

ちょっとでも動くと、
長谷川くんの右腕に触れてしまうから。

先日の甘く恥ずかしい夢を思い出してときめく気持ちと、
これから起こりうる『その時』に
私は逃げ出さず冷静でいられるのかという怯えが、
ほうきに乗った少女のようにゆらゆら揺れている。

「このユーミンの曲、よく考えると子供向けじゃないですよね」

「うん」

「浮気な恋を早く諦めない限り、うちには帰らない…ですよ」

「うん」

「バスルームにルージュとか、怖いなぁ」

「う、浮気、したことあるんだ?」

これだけのイケメンで優しくて…
ハーレムだって築けるでしょ。

「あると思います?」

ぐいっと顔を近づけて聞かれ、私はのけ反った。

「わわわ、わかんないっ」

隠す暇もないほどみるみる顔が赤くなる。
ドアップのイケメンって、すんごい破壊力!
無理!こんな顔とキスとか無理!腰抜けるわ!

「顔、赤いですよ。飲み過ぎ」

私の手からビールを取り上げ飲み干した。

く、来るのか?
いよいよ来るのか?

テレビの場面は主人公がパン屋の主人と出会う所だった。

「あ、おソノさん!僕好きなんです」

とんでもない天然なのか策士なのか…
長谷川くんは映画の世界へ戻ってしまった。

無駄なアドレナリン放出で
ぐったりと疲れてしまった私も、
映画に集中しようと前を向いた。

お届け物屋を始めた主人公は生き生きとひたむきに暮らし始め、
空を飛ぶ夢を見る少年や、
画家の女の子と出会い友情が生まれる。

その内に都会の華やかさを知り、
自分の生き方に疑問を持つ。
そして魔法を失うのだ。

『魔法がなくなったら、何の取り柄もなくなっちゃう』

うぅー、その焦りともどかしさ、わかるよぅ。

「ねぇ、長谷川くん、このシーンね…」

急に寄りかかられる重みを左側に感じた。
え、このタイミングで来る!?

リアルな感触まであったあの夢のように、
とうとう私たち…。


「………」


寝てた。
長谷川くんは、全力で寝ていた。

飲み過ぎなのはそっちじゃん。

もたれた頭に顔を埋めると、
シャンプーとお日様の香りがした。

…大好きだよ。

エンドロールが終わってもしばらく、
私はその体温と重さを感じていた。



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