この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
キミといる場所
第7章 変化の先に待つものは
「いらっしゃいませ」

木戸社長の大きな背中に隠れるようにして店に入る。
貴子さんが『おや?』っという顔をした。
長谷川くんとは…目を合わせる自信がない。

とにかく一番奥の目立たない席へ…
そしてカウンターに背を向けて…
できれば透明人間化して…

「いらっしゃいませ」

ミントの浮いたグラスをテーブルに置く手。
細く長い指先。
こんな状況なのにうっかり見惚れる。

久しぶりの長谷川くん。
指先だけじゃなくて、顔が見たい。
でも私はうつむく。

「ご注文は?」

普段と変わらない声のトーンにほっとしながら、

「あ、僕はブレンドで」

寂しいような…。

「かしこまりました。
そちらのお客様は?」

ひょー、ビジネスライク対応…。

「私も…ブレンドで…」

ココアカプチーノにクリーム追加で
チョコレートソースとココアパウダーをトッピングし
「げー、めんどくさー」と笑う顔が見たい。

「年末でお忙しいというのに…すみません」

木戸社長に恐縮した口調で言われ我に返る。

「いえ、お気遣いなく。
で…お話というのは?」

「いや、あの…そのぅ…」

グラスの水をガブリと飲んで、盆の窪を掻く。

「単刀直入にお聞きしますが、高瀬さんは…決まった相手はおられますか?」

キターー!
やはりそういう話か。

どう答えていいものか思案していると

「多分高瀬さんはお気付きになっていたと思いますが…僕は…高瀬さんが…そのー」

「お待たせいたしました」

空気をまったく読まない間でもって
長谷川くんがコーヒーを運んできた。
チラリと盗み見た顔は無表情だ。

「結婚してください!」

カウンターにいた貴子さんが「わ!」と言う表情で固まり、
トレイを持った長谷川くんが振り返った気配がする。
私は椅子の背に縛り付けられたように動けなくなり、
cocoliの時が一瞬止まった。
/59ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ