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キミといる場所
第8章 制御不能な夜
いつもの長谷川くんならこんな時、
邪魔しちゃ悪いとあっさり帰っていく人なのに、
今夜はなにか言いたげに
椅子の背にもたれて長い脚先を見つめている。

「こないだはごめんなさい」

「ん?」

「寝ちゃったこと」

ああ、あの夜のこと。
何か起こりそうで起こらなかった夜。

「冬眠するんじゃないかって心配だったよ」

ふふっと鼻先だけで笑う長谷川くんは
やっぱりいつもと少し違う。

「あの社長さん、男前でしたね」

それか。

「うん、ずっとお世話になってる建設屋さんだからね」

「男っぽくて大人っぽかった」

それきり黙ってまたつま先に目を落とす。
唇が尖って子供みたいだ。

「菜緒さんのこと、すごく好きなんですね」

どう答えていいかわからない。
社長は私が好き。
でも私は長谷川くんが好き。
じゃあ長谷川くんは?

「結婚してください、なんてさ、自分に自信がなかったら言えないことだもの」

「確かに…。
付き合ってもいない相手にプロポーズするってのは、すごい自信かもね」

「そういう自信とはちょっと違って…」

「じゃあなに?」

やっぱり今日の長谷川くんは変だ。
歯切れの悪さに私は少しイラッとする。

「あんなに若くて会社経営してて、菜緒さんに信頼されてて…そういう自信」

「長谷川くんだってオーナーじゃない」

唇がまた尖る。

「小さな店ですよ。家内制手工業の」

「のんびりしたくて始めたお店でしょ?」

「貯金もないんですよ、僕。全部はたいちゃった」

「お金があるからすごいとか…そんな価値観なの?」

「そーゆう訳じゃないけれど…」

確かに木戸社長は若くして経営者になった人だ。
木戸建設は小さいながらも優良企業であることも間違いない。
でも木戸社長が堂々として見えるのなら、
それはお金があるからとかそんなことではなく、
若いトップとして会社を引っ張っていくためにした努力のせいだ。

「そんなに木戸社長がかっこよく見えるんなら、長谷川くんが結婚すれば」

つい意地悪な言葉が出た。

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