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キミといる場所
第10章 蜜熱
独りでうんうん唸っている長谷川くんを思うと涙が出そうだった。

途中のドラッグストアに寄り、
体温計と風邪薬と…
えーと冷えピタにスポーツドリンク…
思いつくもの全部をカゴに入れ、
のんびりと会計作業をするバイトに呪いをかけながら走る。

坂道で車がバウンドするほど飛ばし、
郵便局の駐車場に頭からぶっ込んだ。
コースレコード樹立の瞬間。
スピード違反で捕まらなかった!
さっき祈っておいてよかった!


ドアを開けてくれた長谷川くんは、ふらふらしていた。
顔色がものすごく悪い。

荷物を持ってあがりこむ。

「これは貴子さんから」

紙袋と

「これは来るときに買ってきた」

二袋にもなったレジ袋。
長谷川くんの目が真ん丸になった。

「な、なに買っていいかわかんなくなっちゃって…
手当たり次第したらこんなんなったのよね」

「ぷぷっ…ありがとう」

笑ってる長谷川くんを見てホッとした。
荷物を置いて部屋を見渡す。

cocoliと違ってモノトーンのインテリア。
無造作に置かれた本とDVD。
ソファーに脱ぎ捨てられた服。
閉じたパソコンの上に置かれたダイレクトメール。
長谷川くんの生活感を初めて見たドキドキに、
風邪の心配を一瞬忘れた。

「こないだの事…ごめん」

「いいの。私こそ謝らなくちゃいけないんだ。
でも、その事はね、良くなったらゆっくり話そ」

うなだれる長谷川くんをベッドに押し込み体温計を渡す。
服をざっとたたみ、
持ってきたあれこれをキッチンに運ぶ。
その様子を長谷川くんはぼんやりと見ている。

「8度2分…」

完全なる発熱。

「気分どお?なにか食べる?」

「要らない…寒い」

熱が上がってきてる症状だ。

「風邪薬飲まないと…
ちょっとだけでも何かお腹に入れよ」

貴子さんのお粥を用意する。

「起きれない…食べさせて」

子供か!普段の私なら突っ込むところだが、
ぐったりした長谷川くんを目にして、素直にスプーンを口に運ぶ。

「はい、あーん」

ふた口ほど食べ、もう要らないと首をふるので薬を渡す。

「飲めない…口移しして」

くちうつし!
私たち、まだそんな関係じゃなかった気がするけど!
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