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彼と彼女の色々な関係~君に溺れて~
第3章 熱~海斗~
聴診器などの医療器具の入ったカバンを持った佐々木さんを連れて、急いで離れに戻る。
「りーちゃん、落ち着きなさい。
そんなに急いだら転んでしまうよ。」
後ろから佐々木さんに言われて立ち止まる。
ついつい焦ってしまう。
あたしがここで焦ってたところで海斗がよくなるわけでもないのに。
でも、海斗が倒れたと聞いて正直どうしたらいいかわからない。
いくら体調が悪いとはいえ、倒れるなんて思わなかった。
「佐々木さん…どうしよぉっ。海斗が、海斗がっ」
「坊っちゃんは昔から頑張り屋だからなぁ。
少し無理しすぎたのかもしれん。
でも大丈夫、きっとすぐに良くなるよ。」
佐々木さんは涙が出そうになって俯くあたしの頭をポンポンと叩いた。
「で、でも…海斗、朝からすごい熱で。
顔も赤くて、苦しそうなのに…何も出来なくてっ…」
佐々木さんの優しさに涙腺が緩んだ。