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彼と彼女の色々な関係~君に溺れて~
第4章 焦がれる~海來~
「カナ~!!」
近くで聞こえた声に思わず振り返る。
見知らぬ子が、友達を呼んで走っていた。
”カナ”
そう呼ばれた子は笑顔で手を振っている。
俺は視線を落とす。
「何やってんだろぉ~。俺。」
こんな自分に笑えてくる。
校舎をでて、明るい日の光を浴びながら目を細める。
「こんなとこに、いるわけないよな。」
俺はいつまでこんなことを続けるんだろう?
正直、もうしんどいよ。
名前を街中で聞くだけで、気が付いたら探してるんだ。
なんで、もっと珍しい名前じゃないんだよ。
俺がそんなこと言える立場じゃないのかもしれないけど。
知らない間に、傷つけてたのかもしれないけど。
こんな天気のいい青空を眺めると、キミの笑顔が浮かぶんだ。
「会いたい…」
小さな願いが小さな声になって、青い空に飛んでいく