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イマージュ
第11章 そこにいるから

 俺の言葉に、女の子は一瞬愕然とした表情を浮かべ、そして次の瞬間大声で泣きながら床に崩れ落ちた。

 それからナースさんが来て、先生にも診察してもらって、ご家族の方がまだ連絡がとれないから、特別に付添として恋人の方といっしょに居てもよいと言われた。

 恋人?

 目覚めたとき、俺を抱きしめたあの女の子か。

 他に女の子の知り合いなんかいないし、恋人といったら彼女しかいないだろう。

 俺は記憶喪失になったのだそうだ。

 ドラマとかでは見たことある。
 そんな「記憶」はある。

 だが、どんなドラマで見たのかとか、自分の知り合いのことだとか、自分が誰だとか、そういうことは全く憶えていなかった。

 問診で色々尋ねられてそのことに自分で気がついた時はさすがに言いようのない不安と恐怖を感じた。

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