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イマージュ
第11章 そこにいるから

「佳純さん……」

「……佳純って呼んで」

 その言葉を聞いた時、何故だか知らないが俺の魂が震えた。

 そして悟った。
 
 なあんだ。心配することなんかない。
 失ったもののことなんて。
 前だけ見ればいいんだ。

 いまそばにいてくれる人と一緒に。

「佳純」

「うん……」
 
 勇気を出して呼び捨てで呼ぶ。

 恥ずかしい。

 当たり前だ。
 今の俺には彼女とつきあっていた記憶がないのだから。

 それどころか、女の子とつきあった経験だってない。
 俺はまだ人生を1日すら生きていない。

「あの……変なことかもしれないけど、聞いてもらえますか?」

「いいよ、ミチル、何でも言って」

「その、俺のこと……」

 ああ、めちゃくちゃドキドキする。

 まともに彼女の顔が見られない。

 勇気だせよ、俺!

 そして俺は言った。

「……彼氏にしてもらえますか?」
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