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イマージュ
第11章 そこにいるから

「その……心配ないのかな」

 俺は全ての記憶を取り戻した。
 記憶を失くしていた一日のことも忘れてはいない。

 クリちゃん……いや、佐藤クリスが死の可能性を前にしてヤケになっていたという話も憶えている。

 心配じゃないか。

「大丈夫よ、元気になったわ」

「そりゃ良かった。でもなんで? 結局、俺とは何もなかったんだろ?」

「なかったけどね。でもふっきれたんだって」

 そっか。お役に立てたってことでいいのかな?

「今朝、電話で爆笑してたよ、彼女。誘ってるのに突然ハミガキコーって絶叫する男なんて、ありえないって。クヨクヨしてたのが馬鹿馬鹿しくなったって」

 ……お役に立てたようでよかったです。
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