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鬼灯
第2章 鬼
その淵は蒼く暗い色を湛えていた。
川の流れは早いはずなのに、そこだけどんよりと水が澱んでいる。
昔からここで身投げをすると死体はそのまま川底に沈み、浮かんでこない…
悲しい恋の話や痴話げんかに出てきそうな淵、そのものだった。


私に声をかけた男は30少し前だろうか…
少しやくざっぽいががっちりとした体躯に浅黒い顔が印象的だった。

男は私に近寄り
“顔色が悪いな…送ってやるよ。”と有無を言わせず車に押し込められた。

車で送られるほんの数分の間に、私が母と娘と暮らしていること
日中は私一人で家にいることを聞きだすとその日は帰って行った。



数日後…男が家に来た。
男は母と美月がいないことを確認すると部屋に押し入って私を抱いた…
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