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十字路の上で
第2章 ありふれた日常

講義が終わり、俺たちは食堂の一角を陣取っていた。
真実と馨が売店のパンを齧りながら、それぞれ借りたノートとプリントを写している。
他のメンバーはそれぞれ食堂の好きな定食を食べていた。
「いまさらだけど、真実ってホント見た目によらず真面目よねぇ」
颯太が味噌汁を啜りながら呟いた。
「失礼な、見たまんまでしょーが」
ノートから目を離さないまま真実が答える。
「ホンマに成績いいもんな〜」
「可愛くてスタイルもよくて、勉強とスポーツも出来て。世の中不公平だよねぇ」
「そうそう。出来るやつは何やっても出来るんやよなぁ〜」
春と関根の言葉に、真実は手を止めて呆れた顔をした。
「あのねぇ…。本当に出来る人ってのは、何にもやらなくても出来るの。あたしは真面目にしないと出来ないからやってるだけ」
「ほな真面目にやっても出来へん俺は?」
「相当残念なやつ?」
「お前なぁ!」
ニコニコしながらパンを頬張り口を挟んだ馨に関根が握りこぶしを作る。
テーブルに笑いが起こり、春が関根をなだめ、馨を窘めるそのやり取りを俺は黙って聞いていた。
真実のいう『本当に出来る人』を具体的に2人思い浮かべながら。

