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十字路の上で
第2章 ありふれた日常

そのとき、颯太がピンっと背筋を伸ばして黄色い歓声をあげた。
「キャ!彰人先輩よっ!!
う〜ん、今日もイケメンっ♡」
振り返ると、『本当に出来る人』の1人として思い浮かべた彰人が食堂へ入って来たところだった。
俺達と同じように男女5人で楽しそうに笑い合っている。俺と真実の先輩ということで、ここにいる全員が彰人と何度か面識があった。
颯太だけでなく、他のテーブルに座る女子達も彰人に気付き始めて、それでなくても賑やかな食堂がさらに騒がしくなった気がした。
なんで俺の周りは目立つやつばっかりなのだろうか。
そう思った時に、定食を頼む列に並ぶ彰人達の方を見ながら、颯太が唇を尖らせてボソッと言う。
「アタシ、あの女気に入らないのよねー」
「え、どの人?」
「彰人先輩の横を常にキープしてる女」
「ワンピース着てる?」
「髪長い方?」
「そうそう」
春と関根が食い付き、どれどれと首を伸ばして観察する。
彼女と何度か直接話したことがある俺は首を傾げた。
「なんで?」
「見かける度にあの距離。なんか彼女気取りじゃない?頑張っていい女を演じてる感じがするし」
「なんだそれ?女なんて皆そんなもんじゃね?」
ハキハキと話す様子は聡明さを感じさせ、明るい表情は可愛らしく、髪やメイク、服装などの身なりも手入れが行き届いていて普通に美人という印象だった。
「んー、彰人先輩の隣にいるために必死な気がする」
「そりゃこれだけ人気の先輩だよ?もしあの人が先輩のことほんとに好きなら必死にもなるんじゃない?」

