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十字路の上で
第2章 ありふれた日常

2年連続で学祭のミスターコンテストの候補に選ばれ、去年は複数の先輩を抑えて準グランプリに選ばれた彰人。
だが、春の言葉に颯太が首を横に振る。
「ダメダメ、あんな厚塗りで付け焼き刃な美しさ。彰人先輩にはもっと着飾らなくても本当に元がいい女が似合うのよね〜。
真実みたいな」
その言葉に一同が一斉に真実を見て、急にふられた真実はなんとも言えない微妙な顔で固まる。
何となく皆が納得したような雰囲気になる。
「そりゃ真実やったら誰も文句ないやろうけど…」
「別格だよねぇ…」
慌てて真実が顔の前で手を振る。
「ちょ…ちょっと、やめてよ」
「アタシ的にあの女、かなり真実を意識してる気がするんだよね。なんか寄せてきてない?真実の模倣品って感じ」
「はー、模倣品。上手いこと言うね」
「でしょ?」
「おい」
かなり失礼な発言に馨が感心したように言うので、さすがに思わず突っ込んだ。
でも…颯太の言葉に内心頷いてしまう自分もいる。
彰人と一緒にいる彼女を何度目かに見かけたとき、以前と少し雰囲気が変わったなと感じたことがあったのを思い出したのだ。
そのときは分からなかったが、もし颯太の言う通りなら…。
「もう、ちょっと!やめてよ。意識も何も、あたしあの人とまともに話したことないし」
「真実は知らなくても、向こうは知ってるはずよ。
狙ってる男が仲良くしてる後輩の中に、こんないい女がいると知ってたら、チェックしてないわけないでしょ」
「そんなこと」
「間違いなくアンタ警戒されてるから」
ぴしゃりと言う颯太の言葉に困った顔で口を閉じる真実。
女の心理は分からないが、こうゆうときの颯太の意見は大概正しい気がする。
そんなことを考えていると、プレートを持った彰人達がこちらに近づいて来たので皆が一斉に口を噤んだ。

