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十字路の上で
第3章 友情と愛情


「アタシ、友情と恋愛感情は紙一重だと思うのよ。
友情は相手に対する興味とか、この人なんか話しやすいなとか、楽しいな、波長が合うなとか、そういう単純な好意じゃん?」

「うん」

「でもそれって恋愛感情も同じでしょ。一体みんなどこで線引きするんだろ?
どこまでが友情でどこからが愛情?」

「うーん…キスしたい、セックスしたいとか?」

「それ、愛のないセックスしてるアンタが言う?」

「……」


的確な突っ込みにあたしは視線を逸らし、グラスを傾けた。


「まぁ、確かそれもひとつの愛情表現ではあるけど、逆にプラトニックな愛もあるわけじゃない」

「…プラトニック、か…」


きっと世の中、そんな人達もいるんだろう。
確かにキスやセックスだけが愛じゃない。

それは分かってる。

熟年夫婦にセックスがないからと言って、そこに愛がない訳じゃないことは分かる。

ちゃんと分かってる。


…だけど。



「だから結局さ、友情も突き詰めれば愛情なのよ」


ふいに放たれた颯太の結論に目を向けると、思いがけず力強い瞳があたしを見ていたので驚いて少し身を引く。


「…なによ?」

「だからね、アンタが言う邦彦の友情も、やっぱり愛情ってこと」


再び視線を逸らし、あたしは黙ってカクテルをあおった。


だけど…

それでも

あたしは
愛されてるなら求められたい。

求められたかったのよ。


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