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君はカノジョ
第3章 彼女の声
すぐその場を逃げ出したい欲求をぐっと堪え、わかりました、と声を絞り出すようにして答える。

「そうか、良かった。と…」
バイブの鳴る音が廊下に響いた。部長がスマホを取り出す。
着信を確認すると俺を見てすまなそうに言った。
「すまない。さっきから妻に呼ばれているんだ。雨で立ち往生してるらしくて、迎えに行かないといけない」
はぁ、と俺はばんやりした返事を返す。
「彼女を送って行ってくれないか」
「えっ…でも」
「彼女も、君とは話さないといけない、と言っていたよ」
部長は目で休憩室の方を指す。
そう…言われても。

逡巡している間に部長はじゃあ、頼むよ、という言葉を残して行ってしまった。
どうしよう。

正直気が進まない。こんなの、普通にフラれるより何倍も惨めだ。
ドア越しとはいえ好きな人が別の男にすがる様を見せられて、それを秘密にする約束に、さらに残された彼女をこのフラれ男に送って行けだなんて。

だいたい、彼女ってなんだよ彼女って。気取った呼び方しやがって。
大人の男だか何だか知らないけど綺麗な(と噂の)奥さんがいるのに部下に手を出すなんて。汚いよ、大人は汚い。……なんて今さら十代じゃあるまいし、こんなこと考えても事実は変わらない。
はぁ、と弱々しいため息が出る。情けな…と思いつつドアをノックする。

休憩室に入ると、部長とは違って情事の生々しい跡をそのままに、机に軽くもたれた金原さんの姿が目に飛び込んできた。
髪を全部片側に寄せて白い首筋が露わになっていて、シャツが乱れて胸元が見えている。スカートも皺が寄って、さっきまで上に上げられていましたよ、って感じになっている。

「あぁ…ごめん、服もう着てるかと思って、その…」
と謝りながらその姿から目が離せない。

普段の俺ならすぐドアの方でも向いて謝ったはずだ。ごめん! 見てないよ! とか言って。
でもなぜだろう、その乱れた姿の金原さんを見た瞬間、俺の心に立ち昇ったのは、怒りだった。
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