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君はカノジョ
第6章 友情なんかじゃないやいや
…と、心が晴れたところで台風は消えてなくならないのだった。
昨日に引き続き皆じゃんじゃんバリバリ仕事をして定時上がりの目処を付けていく。
俺も昨日やった分今日は早く帰れそうだった。

夕方になり雨が本格化してきて昨日の比じゃない。
波はあるけれど、時々ドーーーーッと切れ目なく雨の音がオフィスに響いて笑いが起きる程だった。
「ちょっとまって降りすぎだろこれは」
「これバスとか電車とか走ってるか?」
「タクシーもやばそう」
と皆窓を見て口々に言う。非常時が楽しいのか皆ちょっと笑っていて俺も半笑いでそれを聞くともなく聞いている。

「もう定時近いし、皆きりのいいところで切り上げて今日は早めに帰ってくれていいよ」
三田部長がそう言ったところで数人が待ってましたとばかり席を立つ。じゃあ、私も、俺もーとあちこちから声がする。

俺もあともうちょっと…と思いつつ他の人よりはのんびり目に手を動かす。家は橋を渡ればもう近いし、明日は土曜だし家遠い人よりは余裕だな、なんて思っていた。

定時を一時間ほど過ぎて手持ちの仕事を片付けてさて帰るか、となんとなく後ろを振り返ると桃子さんが机に噛り付いて猛然とキーボードを叩いていた。なにその勢い。
「え、桃子さん何やってんの」
「仕事っ」
「いやいや、それはそうだけどもさ」
「なんか火がついちゃって」
…えー。
「早くしないと、桃子さん家結構遠くなかった?」
「だってアライ化学さんが過去データとここ一年のデータの比較を急にやりたいとかいいだしてさぁ」
「あー。あそこなんでも急に言うよね」
「そうっ」

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