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そして、花開く
第7章 ~ 6 ~
途中心配そうな愛花の視線ともぶつかったが、敢えて普段通り振る舞い肩を竦めて見せると、苦笑いをしながら愛花は店の方へと消えていった。
心配されているのは、薄々気付いている。
特に毎日一緒に仕事をしている愛花には、雑念を振り払うかの様に仕事をしているのが、バレているらしい。
本当は考え込む必要等、無いのかもしれない。
大樹の事だ。
彼とはいつものようにメールをしている。
来月、美容師のコンテストがあるらしく、忙しくて仕方がない、等のメールも貰った。
でも今までと同じではない違和感を、聡は拭えずにいた。
(なんなんだろな、この気持ちは)
ふー、と大きく息を吐いた所で、来客のチャイムが聞こえる。
とりあえず、今は仕事に集中しなければ。
『いらっしゃいませ~』
梱包用のテープを段ボールの上に置くと、聡は大樹の称賛した完璧な営業スマイルで店の方へと出ていったのだった。