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そして、花開く
第7章 ~ 6 ~
反対側の通りの混雑の中に、大樹と清香が肩を並べて歩いている姿だけが、周りから浮いたようにハッキリと見える。
<<清姉が大事なお客さまを連れて来ることになってるのよ>>
<<アンタのシスコンも、終わりを迎えるわね~>>
清貴の声が耳の奥でこだまする。
この感情は一体、何と言えば良いのだろうか。
表情の柔らかい二人から、仲の良さが伺い知れる。
『ねぇ、お客さん』
『…………』
『ちょっと~、お客さ~ん?』
『あ、すみません。乗ります、俺も』
奥に勇介を押し込み、聡も乗り込む。
自分の住所を告げ、動き出したタクシーからもう一度外を見る。
すれ違い様、大樹がこちらを見たような気がしなくもないが、多分それは気のせいだろう。
聡は視線を手元に戻すと、大きな溜め息を吐いた。