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そして、花開く
第8章 ~ 7 ~
辺りが急に静かになる。
慌ただしすぎて、意味が分からなかった。
ポツンとリビングで正座していた聡が、小さく溜め息を吐くと、足音が聞こえ大樹がリビングに戻って来た。
大樹は何だか苦虫を噛み潰した様な、複雑な顔をしながら、後ろ手で扉を閉めた。
『あああの、お、お俺飲み物も出さないで』
立ち上がり、キッチンへ行こうと目の前を横切る聡の腕を大樹が掴んだ。
切れ長の三白眼に見つめられる。
初めて視線を間近で合わせ、寸の間息を呑み込むと、大樹の手に力が籠った。
『…行かなくていい』
『…あの、でも』
『聡だけでいい』
引き寄せられて、大樹の腕の中に納まる。
フワリと服からシャンプーの香りがした。