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そして、花開く
第8章 ~ 7 ~

正面から抱き締められ、大樹の心臓の音が胸に響く。
聡のそれに負けず劣らずの、早さだった。
『あの…大樹さ…』
『聡…』
『…う…。はい』
『こないだここに来た時は、態度悪く帰って悪かった』
『いや、俺色々迷惑掛けましたし』
『あんなのは迷惑の内に入りゃしない。よく聞けよ。こないだも言ったと思うが、俺は聡が好きだ。人として、とか弟みたい、とかじゃなく。聡が好きだ』
言葉を紡ぐ度、腕に力が籠る。
ギュウと抱き締められて、聡は大樹の肩口に顔を埋めた。
胸が急に苦しくなる。
それはバラバラに散らばった感覚が、一気に心に押し寄せる様な感覚だ。
少ししてから胸を押し、大樹から離れた。

