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そして、花開く
第8章 ~ 7 ~
枯れた茎や葉を積む手を止めると、大樹が聡を後ろから抱き締めて座った。
『だ、大樹さん…?』
『このままで』
『…はい』
バクバクと音を立てていた心臓が、大樹の体温で次第に落ち着いていく。
顔が見えないからかもしれない。
ずっと言えなかった心のモヤモヤを、今なら言葉に出来そうだった。
『清から鈍いと、言われる筈です。俺…自分の気持ちにも気付けなかった。大樹さんが他の誰かの物になるのが…俺は嫌……っん』
話の途中で顎を掴まれ、後ろへ振り向かされる。
身体をずらすより先に、大樹の口唇が聡のそれに重なった。
優しく触れ、啄む様な口付けに甘やかな感覚が込み上げる。
心臓は再び全力疾走している様に激しく音を立て始めたが、少し身体をずらして大樹の口付けに応えた。