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そして、花開く
第8章 ~ 7 ~
『あの…大樹さん?』
大樹に声を掛ける。
手を拭き終わると、すぐ大樹に抱き寄せられた。
そのまま大樹から、キッチンの柱に追い詰められる。
『聡。…駄々っ子みたいなのは、俺だ。……』
耳元で囁く声に驚いて、大樹を見上げた。
『え…?』
『……清貴に聞いた…上司にキスされたって…』
『!!……あ、あれはかなり不本意で』
『分かってる。聡を責めてるんじゃない。部外者にそんな隙を与えるような不安にさせた自分の鈍さに腹が立つというか、でもやっぱり、そんな瞬間があったという事に腹が立つ。……それこそ…子供みたいだろ』
そう言うと、聡の首筋に口唇が触れる。
くすぐったさに身を捩ると、口唇を塞がれた。
『ん…っ…っふ、大樹さっ…』
『………嫉妬だ、…単なる。ったく……ガキ、みたいだ』
口付けの合間に言葉を交わす。
優しく口唇を塞がれてしまえば、舌の侵入をあっさりと受け入れてしまう。
葉嶋の時の様な無遠慮さはなく、あくまでも聡の反応を見ながら、優しくそして激しかった。
『っは、ぁ…』
肩で息をする聡の首筋に、もう一度口唇が触れる。
食むように首筋から耳朶までをなぞられると、下半身が脈を打った。
この状態は非常にマズい。
こんな風に反応してしまうは、知られたくなかった。
『あ…ちょ、ちょっと待ってくださっ』
『何を?』
いつの間にか足の間に入れられていた大樹の片方の足が、聡の下半身を擦り上げる。
『…っあ…ん、…だ…』
『好きだ、聡。…愛してる』
言葉を紡ぐ度に首筋に口唇が触れ、足で幾度も擦り上げられる。
首筋と下半身に渦巻く快感で、聡は足元がふらついてしまう程だった。
自分の顔を覗き込む大樹の顔は色気が駄々漏れ状態で、直視など出来ない。
『俺の物に…なってくれるか?』
耳障りのいい低い声が、優しく問い掛ける。
他人の物になる、と思っていた人から。
それも初めて自分の中に、人を好きになるという感情を芽生えさせた人から、そんな事を言われて、拒否出来る訳がなかった。
『大樹さんも、俺のになってください…』
応える様に聡が大樹の首筋に額を擦り寄せる。
初めて大樹の笑顔らしい笑顔を見た気がした。