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そして、花開く
第2章 ~ 1 ~
聡は昔を思い出しながら、空になったグラスにウィスキーを注ぐと、小さく笑った。
『はいはい、出来ましたよ~。トマトオムレツに、チーズ盛り。あと、枝豆でしょ~。あ、チョコプレッツェルもね』
リビングにはソファーとテーブルが1つずつ、後はテレビと小さな本棚しかない。
清貴はいつも、カーペットに座って酒を飲む。
今日もソファーの横に座り、もたれ掛かりながら、二本目のビールを持ち上げ形ばかりの乾杯をした。
『で?今日はどうしたの?』
『……清、それ俺の台詞なんだけど』
いきなりどうしたと言われても、ハテナしか浮かばない。
思わず下に座る清貴を覗き込むと、清貴も聡を見上げた。
『笑ってればいい男って言われてもいいのに、顔が何時にも増して陰気臭い』
『きよたかさん…』
ヒドい、と嘆けばカラカラと面白そうに清貴が笑う。