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そして、花開く
第9章 ~ 8 ~


時計を見れば深夜0時。

こんな時間に来る人物が誰か、聡には検討がついていた。
来るとすれば、仕事の合間にメールを送った人物だろう。

ふぅ、と小さく息を吐くと、聡は立ち上がり受話器を取った。

『おっそーーい!!』
『清、夜遅いから大声出すなよ』
『大声出さずにいらりょうか!今日のメールは何?ちゃんと話を聞かせなさいよね!この無精もの!ひと月以上も待ってたんだから!』
『話も何も『プライベートって言葉を知らんみたいだな、清貴。聡は俺のだぞ』』

不意に後ろから伸びた手に受話器を奪われる。

呆気にとられている聡の頬に大樹が口付けると、まだ声のする受話器を勝手に置いて、エントランスのロックを解錠した。

『大樹さん…』

一時間ほど前に聡の家に来て、つい先程までシャワーを浴びていた大樹は、ポカンと見上げる聡を見つめた。

『……俺より先に、清貴に返事したんだろ。じゃなきゃあんな血相変えて飛んでこない』

そう言うと今度は聡の口唇に軽くキスをして、濡れた頭を拭きながら玄関へと向かう。

玄関のドアを開けると同時に、清貴の声がして聡は苦笑いしてキッチンへと入った。



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