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そして、花開く
第4章 ~ 3 ~
『……あ、さっきはどうも』
戸惑いがちに声を掛ける聡の方へと歩み寄りながら、片方のグラスに口を付ける。
『いや、気にしなくていい。ただ人混みでぼぅっと突っ立っとくのは危ないな』
目を細めて小さく笑い、もう一口グラスに口を付けるのを見ながら、普通に笑えるのか、等と大変失礼な事を思う。
むしろ笑っていると、目付きの悪さが目立たないので、だいぶ柔和な感じがする。
その一連の動作を、珍しい物でも見るように眺めていると、大樹からもう片方に持っていたグラスを差し出された。