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そして、花開く
第5章 ~ 4 ~


『葉嶋の心配症は今に始まった事じゃないけど、町田くんも随分気を遣う子だからね。こいつみたいに真面目過ぎて胃に穴空けないように』
『え?いや、別に気は…』


使っていないと言えば嘘になる。

正直、接客は割り切っていられるが、人との付き合いは苦手で、それを相手に気取られない様に、毎日神経を張り巡らしている。

不用意に知り合いを作らないようにしているから、三井姉弟の様な気の置けない二人以外に、聡が心を開いている人は、皆無に等しい。

前に清貴が言って居たように、離れる時の淋しさを思うからこそ、付き合いを深めることを拒否しているのかも知れなかった。

いきなり水を向けられ焦ったが、考え込んでいる内に葉嶋が酔い潰れてしまい、そのまま話は流れた。


しかし、聡の心には小さな棘のように、葉嶋と有田の言葉が刺さったままだった。


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