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そして、花開く
第2章 ~ 1 ~


 

月明かりが窓から差し込む。

窓際に置いた一人掛け用のソファーに腰を下ろすと、傾けたウィスキーグラスに、明るく少しだけ欠けた月が映り込んでいた。

もうすぐ5月。

レースのカーテンの隙間から入ってくる風は、まだ少しだけ冷たい。
グラスの中の氷がカロン、と音をたてる。

琥珀色の液体を口に含むと、聡は目を閉じた。


昼間、愛花を傷付けない様にと取り繕った言葉は、逆に彼女を傷付けてしまった。
ああいう時、どんな言葉を掛けるべきなのだろう。

上辺だけの優しさで取り繕得るえる程、ボキャブラリーは豊富に無い。

対顧客に対しては幾らでも言葉が出てくるのに、そう思うと落ち込まずにはいられなかった。


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