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そして、花開く
第5章 ~ 4 ~
そう言えば前に清香の話をした時も、そんな優しい表情をしていた。
やはりその事を思うと、何か胸の内がもやつく。
それは清香に対する独占欲だろうか。
『……見つめてくれるのは嬉しいが、前見て歩かないと、そろそろ転ぶぞ』
『え?!あ、すみませっっ』
慌てて前を向く。
頬が熱くなるのを感じていると、隣で小さくまた笑う声がした。
(うぅ…)
非常に居たたまれない。
会話が途切れたまま、人通りの多い道から、駅までの道に出る。
昼を過ぎた為か、先程に比べれば随分と人通りは少なくなっていた。