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そして、花開く
第5章 ~ 4 ~
自分に彼ほどの真剣さはあるだろうか。
先日見掛けた大樹の表情は、そんな風に思える程の真剣な眼差しだった。
『俺は逆に町田の接客スキルが羨ましいけどな』
『へ?……俺?』
『そう。初めて見た時はぎこちない感じだったけどな。今は不自然さのない、丁寧な接客だと思う。店の お客からも他の従業員からも言われてるんだ、俺。ギフト屋のお兄さんの愛想の良さを見習えって』
『えぇ!?』
『まぁ、無理だけどな』
食後の珈琲に口をつけながら、大樹が目を細める。
聡も頼んでいたカプチーノの最後の一口を飲み干した。