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そして、花開く
第2章 ~ 1 ~
三井姉弟と知り合ったのは、今から二十年程遡る。
父の面影は少しも思い出せないが、母の記憶は、微かにある。
聡は小学校に上がるより前に、児童施設へと預けられた。
捨てられたと言っても過言ではないが、昨今のニュースを見ると、預けられただけまだ愛情があったのかもしれない、等と考えてしまう。
だがどれだけ呼んでも、立ち止まりも振り返りもしなかった母。
傷付き、打ちひしがれている時に、同じ施設で知り合ったのが、三井姉弟だった。
清貴には二つ上に姉がおり、それはそれは面倒見のいい姉御肌。
兄弟は居ないが、本当の姉の様に可愛がって貰い、聡自身も慕っている。
今でも三井姉弟と幼なじみでいるのは、姉清香の面倒見の良さによるものかも知れなかった。