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そして、花開く
第6章 ~ 5 ~

どうしたというのだろうか。
最近、大樹表情が豊かになったように思う。
無愛想だ、鉄面皮だと思っていたが、話をすれば微妙に表情というか雰囲気は、それなりに変化する。
いつの間にか、それを何となく感じ取れるような気がしているのだけれど、それは大樹の事を知ったかぶっているようで、妙に心地悪かった。
ビールを呑みながら片付けをしていると、おもむろに白い小皿に何か野菜が乗って出てきた。
(なんだろ、これ)
いただきます、と口に入れて聡は驚き目を見開いた。
『!!何これ…美味しいんですけど』
『あ?生ハムと生野菜のマリネだろ』
粒の胡椒と程よい酸味が口に広がり、噛み締めると生ハムの塩味が加わって、絶妙に混じり合い、ビールがより美味く感じる。
(この人、美容師だよな…)
カウンターの中で、黙々と何かを作っている大樹を見つめる。
少し楽しげに、料理をしている様に見えるのは、気のせいだろうか。

