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月下美人
第3章 月下美人 -憧れ-
確かに神田は、りさを何度も誘っていた。
りさが地元の事務所に勤めて一年。
神田が居たのが今から二ヶ月前。
半年間ほどは神田とは同じ事務所内で働いていた。
神田は二ヶ月ほど前に転勤となり、りさとは二ヶ月ぶりの再開。
だが、他事務所やりとりの仕事をしていたため、転勤をした神田の事務所へ一週間に一度は連絡をしていた。
その時に対応するのは必ず、神田だった。
プルルルー
「お疲れ様です、渡辺です」
「お疲れさん」
「神田さん、もう少しやる気のある声を出してください」
「ヤル気ならある」
「そういう下ネタはセクハラですよ」
ため息を出すがりさの声は弾んでいた。
たとて下ネタを言われたとしても神田とのやりとりは、仕事場での嫌な気分を張らしてくれた。
「で、なんの用?」
「情報共有ですよ、今週の件数を教えてください」
何分かお互いの事務所でのやりとりをし情報や来週行う作業の指示を受け、メモを取りながら話していた。
あとは神田の休みを聞くのみ。
「神田さんは、月曜日はお休みですか?」
「休み、でいつ遊びに来るんだ?」
でって、話全然繋がってない。
このやりとりは情報の共有をしたあとに必ず繰り返されている。