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上野んちの親父が死んだ
第1章  
 上野を見下ろしたのは無意識だった。
 俺を見上げる上野の瞳は、窓の外と同じ色をしていた。


「え・・・あ!外国のお土産だったよな?覚えてる覚えてる。外国行くたびにおやじさんが買ってきてくれるんだったよな!やっさしーよなぁ!そりゃ愛情詰まってるよ、簡単に手放せねぇよな!」
「そうでしょう?これでカッちゃんと一緒に遊べっていう親心なんだから困っちゃう。内気で友達のいなかった敦美にできたたったひとりのお友達であるカッちゃんとこれで一緒に遊んでもらえっていう手厚すぎる愛情なんだからもう、今まで手放すに手放せなくて」


 そのとき上野は笑っていた。
 確かに、記憶の中と同じ、明るい笑顔で。



「え・・・・?」



 聞き返した俺に上野は笑いながら、ボードゲームのひとつを手に取った。
 玩具の山からひとつ、死んだ父親の愛情が抜け落ちる。
 スッカラカンの室内に放り投げられた愛情の落下音は、必要以上に俺の鼓膜に大きく響いた。



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