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上野んちの親父が死んだ
第1章  
 それからのこと。




 よく覚えていないけれど、俺は気付いたときには自分の部屋で眠っていた。
 



 彼女にいつ電話したのかよく分からないけれど、怒られた記憶はないからこれといって問題にはならなかったんだろう。
 けれど夏休みが終わった頃、彼女はべつの、俺よりもっと楽しい男と浮気して、俺とは終わった。
 虚しい努力が至らなかった結果だろう。


 ビクスクは買わなかった。 
 どうしてかバイトに行く気が起きず、無断欠勤を繰り返したせいでクビになり、資金が足りなかったせいだ。


 新学期に入っても俺は相変わらず楽しい仲間とはつるんでいたけれど、学校を休むことはしなくなった。
 なぜかというと、上野と同じクラスだった仲間の一人が「ウワサだけど。俺のクラスにいた上野っていうキモイやつさぁ、妊娠したとかで学校辞めたんだぜ。まじキモイよなぁ」と笑いながら話したせいだ。




 母さんは2学期から真面目に不真面目な高校生活を送り始めた息子を安心しつつも時折「敦美ちゃん、元気にやってんのかしら」と、お隣さんの行く末を、町内会婦人部長としてなのか、お隣さんとして上野んちの事情を見守ってきたからなのか、気にしている様子だった。


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