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上野んちの親父が死んだ
第1章  
 夕飯時だったから俺は箸を握ったままだった。
 ハンバーグの匂いが漂う玄関先で、上野は教室にいる時と同じ暗い顔で俺に「カッちゃんあのね、さっきお父さんが死んじゃった。どうしたらいいかな」と呟くように告げた。
 


 そのあとのことはよく覚えてないけど、驚く俺の声を聞き付けたエプロン姿の母さんが奥から出てきて俺を押しのけ、俯いてる上野に色んなことを尋ねていたような気がする。



 上野んちの親父はここらで一番有名な公認会計士事務所の会長で、葬式は派手だった。


 ここらで一番でかい斎場の一番でかいホールで行われた葬儀には、300人を超える参列者が訪れたらしい。


 高校の真新しい制服に身を包んだ上野は泣くわけでもなく、かといって気丈に振る舞うでもなく、やっぱり教室にいる時のような暗い顔で黙って座ってるだけだった。


 死んだ上野の親父は財産をたんまり持っていて、その上保険金もかなり下りたそうで、葬式が終わって高校の入学式が済んだあとも、上野は変わらず俺んちの向かいの豪邸から通学してる様子だった。



 上野の親父は社会的地位のある人間のわりに、身よりがなかったらしい。
 もちろん、男をつくって出てった上野の母親は葬儀に顔を見せなかった。
 


 だから時々、死んだ親父の部下と名乗る男が上野んちに出入りしていて、たぶんその人に財産の管理とか相続とかやってもらってんじゃないかしら、と俺に告げたのは、町内会婦人部長として通夜から葬儀に至るまでのもろもろを手伝い、そして上野んちの事情をお向かいさんとしてずっと見守ってきた、うちの母さんだった。



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