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甘い風
第12章 揺れる

里優の仕事が終わり野沢の待っている居酒屋へ
オープンキッチンの広い店は金曜日ということで
早い時間から賑わっていた
「野沢ちゃん、お待たせ」
「野沢さんお待たせしました」
「お疲れっ。先にやってるよ」
ビールを飲み干す野沢
「私もビールだなぁ。里優ちゃんは?」
「私はジンジャーエールにします」
「僕ももう一杯ビール」
飲み物が揃ったところで
「乾杯」
声を揃えた三人は他愛もない会話で盛り上がり
「桜子さん、彼氏さんって何なさってる方なんですか?」
(この質問が来たか)
「内緒。プライベートなことは言わなーい」
「えーっ教えてくれたっていいじゃないですかぁ」
少し頬を膨らます里優
「僕も聞きたい」
「ダメー。内緒」
笑いながら桜子は一向に口にしない
「お疲れ様です!」
翔がやってきた
「お疲れ様」
里優と野沢はそう言ってから
はたと気付く
「あれ?翔くん、何でここに?」
里優が疑問を投げ掛ける
「まぁ、僕も一緒にいいですか?お腹空いてて」
皆の返事を待たずに空いている野沢の隣に腰をかける
目の前の桜子がすかさず
「あら、翔くん、じゃあ何か好きな物でも頼んだら?」
二人の注目点の話題をずらすように畳み掛ける
酒が進んだ野沢が急に
「それにしても桜子さん、彼氏できたって聞いてショックだよ、僕」
「野沢さん、桜子さんのこと好きだったんですね」
呑気に里優が言葉にしてしまう
「またまたぁ。野沢ちゃんはそういう意味じゃないでしょ、彼氏彼女いない仲間が一人減ったからショックだったんでしょ、あはは、もう一杯ハイボール」
桜子は本当の意味をわかっていながら
スルリと方向性を変える
「桜子!」
立ち止まる人を見上げると
ケイジだ
「…ケイジ…何でここに?」
「今日は俺の歓迎会で会社の人間と飲みに来た。あ、どうもこんばんは。初めまして。桜子の元彼です」
笑顔だが威嚇するような目で彼は話す
美しい顔立ちなので余計冷たい印象を与える
唖然とする里優と野沢は「こんばんは」を口にするのが精一杯だった
「余計なことを。酔ってるの?」
「俺は酔わない。楽しくお飲みの最中に失礼しました。またな」
紳士な顔で立ち去り
桜子は一気にハイボールを飲み干し
「もう一杯!」
オープンキッチンの広い店は金曜日ということで
早い時間から賑わっていた
「野沢ちゃん、お待たせ」
「野沢さんお待たせしました」
「お疲れっ。先にやってるよ」
ビールを飲み干す野沢
「私もビールだなぁ。里優ちゃんは?」
「私はジンジャーエールにします」
「僕ももう一杯ビール」
飲み物が揃ったところで
「乾杯」
声を揃えた三人は他愛もない会話で盛り上がり
「桜子さん、彼氏さんって何なさってる方なんですか?」
(この質問が来たか)
「内緒。プライベートなことは言わなーい」
「えーっ教えてくれたっていいじゃないですかぁ」
少し頬を膨らます里優
「僕も聞きたい」
「ダメー。内緒」
笑いながら桜子は一向に口にしない
「お疲れ様です!」
翔がやってきた
「お疲れ様」
里優と野沢はそう言ってから
はたと気付く
「あれ?翔くん、何でここに?」
里優が疑問を投げ掛ける
「まぁ、僕も一緒にいいですか?お腹空いてて」
皆の返事を待たずに空いている野沢の隣に腰をかける
目の前の桜子がすかさず
「あら、翔くん、じゃあ何か好きな物でも頼んだら?」
二人の注目点の話題をずらすように畳み掛ける
酒が進んだ野沢が急に
「それにしても桜子さん、彼氏できたって聞いてショックだよ、僕」
「野沢さん、桜子さんのこと好きだったんですね」
呑気に里優が言葉にしてしまう
「またまたぁ。野沢ちゃんはそういう意味じゃないでしょ、彼氏彼女いない仲間が一人減ったからショックだったんでしょ、あはは、もう一杯ハイボール」
桜子は本当の意味をわかっていながら
スルリと方向性を変える
「桜子!」
立ち止まる人を見上げると
ケイジだ
「…ケイジ…何でここに?」
「今日は俺の歓迎会で会社の人間と飲みに来た。あ、どうもこんばんは。初めまして。桜子の元彼です」
笑顔だが威嚇するような目で彼は話す
美しい顔立ちなので余計冷たい印象を与える
唖然とする里優と野沢は「こんばんは」を口にするのが精一杯だった
「余計なことを。酔ってるの?」
「俺は酔わない。楽しくお飲みの最中に失礼しました。またな」
紳士な顔で立ち去り
桜子は一気にハイボールを飲み干し
「もう一杯!」

