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第13章 今

彼女は上にまたがる翔の愛棒を指先でスーっとなぞり
刺激する

「…っ…まだダメ」

「やだ」

「ダメ、ゆっくりイカせたいの」

「いや。早くイキたいの」

「ワガママ」

「知らなかった？」
そっと彼女の手に唾液をつけ彼自身を握り
ゆっくり上下にスライドする

「ワガママ桜子」

「そうよ私ワガママなの。自分でもどうしようもないくらい」

「いいよ、面白いから」
彼女の唇を舐め
舌を沈める

「…っ…ねぇ…現実から逃げたいの…」
彼の下唇を甘く噛む

「どうして？」
彼女の耳朶を舐めあげる

「…どうしても」

「それじゃわからない」

「わからなくていいの」

彼は無言で脱がされたシャツを拾い
彼女の両腕を頭上で縛り上げ
自由を少しだけ奪う
彼女の上にまたがり
「手首、痛くない？」

「優しいね、翔は」

「愛だよ。思い遣り」

「やっぱり大人ね」

「まぁね」
桜子の唇を人差し指でなぞり
その指を自分の口に含む
舌を出して舐め
彼女の唇をまたなぞる
唇の間から中へ
桜子の舌はそれを迎え
巻き付くように絡ませる

またその指を離し
自分の口へ含む

「優しい俺がいい？激しい俺がいい？」

笑みを浮かべた彼は冷たく美しく
ゾクッとするほど妖艶

「そういう冷たい顔も好き」

片側の口角だけを上げ
「それ、よく言われた」

ドキッと胸が騒ぐ桜子
「ダメ、そんなこと言わないで。胸が苦しくなる」

「俺だけでお前を埋め尽くしてやるって言っただろ？」
彼女の両頬の横に手をつき
じっくり彼女を見詰める

「嫉妬で狂いたくない」
まっすぐに彼の瞳を見る桜子

「狂わせたい…狂いたいんだろ？俺に」
彼女の耳朶から顎のライン
首筋を指先でスーっと触れる

ピクッと身体を反応させながら
「ずるい」

「ずるくない。お前には優しい顔しか見せてない」
指先は鎖骨をなぞり
腰のラインに沿って上下に弄ぶ

「悪魔」
泣きそうな
睨むような表情を浮かべる桜子

「お前だけにはイケナイ天使か優しい悪魔」
また口角を片方だけ上げる

「優しい天使がいい」

「それだけじゃ、つまらないだろ？」
まっすぐの瞳は澄んでいて美しい

「そうね…」
瞼を閉じる桜子

「抵抗やめたの？」

「うん、貴方の全部を知りたいって思ったのは私だから」

「俺にも色々な引き出しはある」