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甘い風
第14章 慟哭

フーッ
煙を眺め
指先でタバコを転がす
ケイジも桜子のタバコを取り
長い指先で唇に運ぶ
「火をかせ」
「はい」
ライターをテーブル越しにスルッと滑らせ彼の元へ
無言で彼は桜子の横に
口にしたタバコを彼女の唇に挟まれたタバコの先へと
スーっと吸い込み火をつける
片手にグラスを持ち
また喉を鳴らす
「壊れろよ、桜子」
ケイジをみつめない彼女の瞳に向かって言葉を投げる
「もう、壊れようがないでしょ。自分でもわかってるもの。私がどれだけ壊れてるか」
フーッと煙を吐き
立ち上る煙を視線が追いかける
「お前、外への笑顔は身に付いたんだな」
唐突な言葉に
「何?それ?」
「この前俺が邪魔した時に思った。昔は笑いもしなかった」
タバコを消し
また髪で隠しながら涙を指先で拭う
「そうかもね。大人になった証拠よ」
正面をみつめながらフッと笑う桜子
「心の底から笑え」
タバコをもみ消し彼女の腰へ腕をのばし引き寄せる
「そんなことしても、人から奪ったモノはまた奪われるだけよ、別の人に」
「それはやってみなければわからん。だろ?」
「私が流されれば、また私は一つ自分の弱さを認めなければいけなくなるのよ。今の貴方の行動も愛じゃないわ」
また彼女の瞳が潤む
「俺も愛がわからないから、か」
腰へまわした腕をソファの背もたれへ伸ばす
「傷を舐めあって生きてはいたくないの」
肩を震わせまた顔を両手で覆う桜子
「わかった。お前の気持ちはわかった」
グラスに口付け残りを飲み干す
「ごめんなさい。本当に。どうしていいのかもわからない。私は結局貴方を利用したのよ…」
手から落ちる滴は
光りを集め
ガラス細工のように美しい
「いや、お前の気持ちを知りたかった。昔のままのお前ならばきっと俺の腕を受け入れていたはずだ…が…外に車を待たせてある。
そのまま家へ帰れ。
泣かせてすまなかった。
俺はお前の幸せを遠くから願うことにするから、安心しろ」
ケイジは桜子の髪を撫で
彼女を立ち上がらせる
崩れるように泣きじゃくる桜子の足元は力なく
彼女の崩れたアイラインを指で取り去る
「ケイジ…ダメ、優しくされると弱さが勝っちゃうからヤメて。お願い。また貴方に甘えてるけど」
そのまま床へと崩れ落ちる桜子
「車の中で泣いて家には笑顔で帰れ」
「貴方も私も本当に酷い人間ね」
煙を眺め
指先でタバコを転がす
ケイジも桜子のタバコを取り
長い指先で唇に運ぶ
「火をかせ」
「はい」
ライターをテーブル越しにスルッと滑らせ彼の元へ
無言で彼は桜子の横に
口にしたタバコを彼女の唇に挟まれたタバコの先へと
スーっと吸い込み火をつける
片手にグラスを持ち
また喉を鳴らす
「壊れろよ、桜子」
ケイジをみつめない彼女の瞳に向かって言葉を投げる
「もう、壊れようがないでしょ。自分でもわかってるもの。私がどれだけ壊れてるか」
フーッと煙を吐き
立ち上る煙を視線が追いかける
「お前、外への笑顔は身に付いたんだな」
唐突な言葉に
「何?それ?」
「この前俺が邪魔した時に思った。昔は笑いもしなかった」
タバコを消し
また髪で隠しながら涙を指先で拭う
「そうかもね。大人になった証拠よ」
正面をみつめながらフッと笑う桜子
「心の底から笑え」
タバコをもみ消し彼女の腰へ腕をのばし引き寄せる
「そんなことしても、人から奪ったモノはまた奪われるだけよ、別の人に」
「それはやってみなければわからん。だろ?」
「私が流されれば、また私は一つ自分の弱さを認めなければいけなくなるのよ。今の貴方の行動も愛じゃないわ」
また彼女の瞳が潤む
「俺も愛がわからないから、か」
腰へまわした腕をソファの背もたれへ伸ばす
「傷を舐めあって生きてはいたくないの」
肩を震わせまた顔を両手で覆う桜子
「わかった。お前の気持ちはわかった」
グラスに口付け残りを飲み干す
「ごめんなさい。本当に。どうしていいのかもわからない。私は結局貴方を利用したのよ…」
手から落ちる滴は
光りを集め
ガラス細工のように美しい
「いや、お前の気持ちを知りたかった。昔のままのお前ならばきっと俺の腕を受け入れていたはずだ…が…外に車を待たせてある。
そのまま家へ帰れ。
泣かせてすまなかった。
俺はお前の幸せを遠くから願うことにするから、安心しろ」
ケイジは桜子の髪を撫で
彼女を立ち上がらせる
崩れるように泣きじゃくる桜子の足元は力なく
彼女の崩れたアイラインを指で取り去る
「ケイジ…ダメ、優しくされると弱さが勝っちゃうからヤメて。お願い。また貴方に甘えてるけど」
そのまま床へと崩れ落ちる桜子
「車の中で泣いて家には笑顔で帰れ」
「貴方も私も本当に酷い人間ね」

