この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
君へ贈る愛の唄
第6章 ♪高鳴る
気がつけば、もうこんな時間だった。
「そろそろ帰らなきゃ」
「彩音、今日は来てくれてありがとう。すごく楽しかった」
「あ、あのね律子、私」
一瞬喉まで出かかっていた。
律子は私の言葉が詰まったのを、何か感じ取ったのだろうか。
「ほんとは他に何か言いたいこと、あったんじゃないの?」
友達は鋭い。
なにもかも、見透かされてるようだ。
「ううん、なんでもないの」
「彩音。自分の心に正直に生きるのよ。一度きりの人生なんだから」
「っ…律子」
ーーーー
ゴトン、ゴトン…
帰りの電車の中。
私は流れる風景をぼーっと見ていた。
どうしよう。
どうしよう。
私、どうしたらいいいの?
辛い恋をしていた。
誰にも言えない、
許されない想いだった……。