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君へ贈る愛の唄
第8章 一歩前進
昼下がりの午後。
私は求人誌に目を通していた。
一般事務、ウエイトレス、販売、電話オペレーター。
はぁ…。
いろいろありすぎて、迷っちゃう。
卒業してすぐ結婚したから、まだ一度も働いたことがなくて。
自分に合う仕事は一体何だろう?って思う。
ふぁー。
なんだか眠くなってきた。
ーーーー
ゆうべ拓也と、キスから先へ進みそうになったんだ…。
「待って拓也!」
「何を待つの?オレもう我慢できないんだけど」
「だめっ、私達は親子なのよ」
「でも血は繋がってない」
「もう少しだけ待ってくれる?母さん、まだ拓也とそうなる勇気がないの」
「…わかったよ」
ーーーー
《…あや…》
はっ!
「修二さん」
《…残念だが、そろそろ君とお別れしなくてはならない時がきた…》
「それはどういうこと?」
《…もう俺の役目は終わりだよ。わかるな?あや…》
「そんなこと言わないで」
《…いつまでも君を見守ってる。
たくを、よろしく頼む。幸せに…あや…》
「いやよ、行かないで修二さんっ…ぅ」
ーーーー
「ぐす…っ…ヒク」
開け放したベランダの窓から、秋のそよ風が舞い込んで、
私の寝顔を優しく撫でた…。