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君へ贈る愛の唄
第9章 あやまち
母さんにキスをしようとすると、顔を背けられた。
「…ばあちゃんに何を言われたか大体察しはつくけど、見合いなんて断れよっ」
「拓也、やっぱり私達間違っているのよ。いくら血が繋がっていなくとも、世間は認めない。それが現実。おばあちゃんの言うとおりにするしかないの。今ならまだ引き返せるもの…」
「母さん本気で言ってるの!?オレと別れて、誰かのものになるって?そんなの絶対いやだ!」
「私だっていやよ、拓也と別れるなんてっ。でも、どうしようもないじゃない…」
「オレ、ばあちゃんにハッキリ言ってやるよ。母さんのことが好きだって。ずっと2人で生きていくってね」
「だめ!それだけは言わないで、お願い」
「母さん……」
「明日、お見合いはしないって、ちゃんとおばあちゃんに言うから。
だからもう部屋へ戻って」
「絶対断るんだな?」
「うん」
「じゃあ戻るよ。でもちょっとだけ…」
「っ…」
オレは母さんの身体を抱きしめ、もう一度顔を寄せた。
母さんは今度は、何も拒まなかった。