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君へ贈る愛の唄
第13章 新たな関係
私の手を引いて、出口へ向かう拓也。
「お客さん、勝手な事されちゃ困りますね〜」
「さっ、あんりさん戻りましょう」
すぐにボーイ達が来て、私と拓也を引き離そうとした。
「ええい、どけっ!」
「やめてっ、私は戻らないわ!」
拓也は私を庇いながら、男達を振り切って進んで行く。
ナンバーワンへの未練など、もうどうでも良かった。私は心のどこかで、この時を待っていたのかも知れない…。
しかし拓也は屈強な男達に捕まってしまい、荒っぽい動作で裏口へと連れて行かれそうになる。
「離せっ!」
「拓也っ!」
私が叫んだその時。
「ちょっと待った!」
1人の男性客が、席から立ち上がり言ったのだ。
「ここのオーナーに、覚醒剤所持の容疑が掛かっている事、皆さんはご存知かな?」
ざわざわ…
ざわざわ…
どうやら彼は警察官のようだった。
そして捜査令状をさっとマスターに見せると、店内に張り込んでいた捜査員達が一斉に動き出した。
慌てふためくマスターは客達に謝り、今度は違う意味で店内は混乱し始めた。
「母さん今のうちだっ」
「うん!」
その刑事さんは、私達に笑顔で言ってくれた。
「何があったが知らないが、頑張れよ!」
と…。