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君へ贈る愛の唄
第13章 新たな関係
拓也side
母さんと表へ出ると、良太が待っていた。
「拓也、俺の車使えよ。俺今日、上司の送迎役だったんだ」
「でも、いいのか?」
「こっちはタクシー呼ぶから大丈夫。だっておまえの一大事だからな、いいってことよ」
「サンキュー、良太」
「良太君!こんな所で会えるなんてね。いつも拓也といてくれて、ほんとにありがとう」
「拓也はお母さんの事、必死で捜してたんですっ。もうこいつを…悲しませないでやって下さい」
「…ええ、わかったわ」
バタン
ーーーー
まだ信じられないが、オレの横には母さんがいる。
夢じゃなく、本物の母さんが。
オレは運転しながら、左手で母さんの右手を握った。
母さんは言う。
「ごめんなさい。私の事、怒ってるでしょ?」
「なんにも怒ってない。こうして無事生きててくれただけで、嬉しいから」
「すっかり社会人になって…安心したわ」
「うん」
今夜良太が知らせてくれなければ、オレ達は永遠に会えなかったかも知れない。